コラム

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2021.09.07

法人資産の運用を考える(35) もしも、小職が法人内部の運用責任者だったら(3)  共有可能な意思決定基準の有無が、運用の持続可能性と成果を左右する

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

前回は、「もしも、小職が法人内部の運用責任者だったら」、経済・投資環境の変化に耐えうる、

組織として、なるべく持続可能な運用対象として何が残るかについて、考察した。

結論としては、

【1】各種債券市場、不動産(REIT)市場、株式市場など、金融市場全体の時価総額加重平均指数(ベンチマーク・インデックス)と同様の銘柄数とそれらの構成比率で分散投資されたETF(上場投資信託)を法人資産の中心とし、そこから生じ続ける利子配当収入によって、なんとか公益事業支出をファイナンスして行けないものか? 

まず、ここから考えてみるだろうと説明した。また、

【2】利子配当金という経済的な付加価値を生むことが一般的に期待できる債券、不動産(REIT)、株式を中心とする

【3】ただし、個別銘柄の債券、不動産(REIT)、株式への直接投資は、厳に慎む

【4】更に、個別銘柄や売買タイミングを「上手く選べる」とされる外部委託、ファンドや金融商品の利用も避ける

であろうとも説明した。

なぜなら、【3】【4】は、【1】の場合よりも、持続不可能に陥る可能性が高いと考えるからであった。

さて今回は、単に上記【1】の運用戦略を実施しているというだけでは不十分であることを説明したい。

つまり、【1】に加えて、

①基本ポートフォリオ(=各種債券市場、不動産(REIT)市場、株式市場への資産配分比率=ETF(上場投資信託)によって複製・再現)

②投資方針書(基本ポートフォリオについての合理性・納得性の有る説明書、仕様書)

についても、もしも法人内部の運用責任者だったらば、準備するに違いない。

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そもそも運用収入によって未来永劫、法人の公益事業支出を

ファイナンスできるよう目指すものである。

目先の運用収入の帳尻合わせばかりに終始しないで、

中長期的な運用収入の安定性や、運用元本そのものの保全という目標

ともバランスしているものでなくてはいけない。

であるから、現在利回りの高い資産、感情的な好き嫌いを基準に

特定の資産ばかりに偏重するのでは無く、

なるべく国内/国外全ての各種債券市場、不動産(REIT)市場、株式市場を

バランスよくカバーするよう腐心するだろう。

そうすることで、各市場の加重平均利回り程度を享受し、

かつ、将来の配当・資産価値の成長性をも備えた

(=配当・資産価値が大きく落ち込んでしまうリスクにも配慮した)、

持続可能な基本ポートフォリオ(=資産配分比率)を検討することだろう。

同時に、この基本ポートフォリオの説明書、仕様書ともいえる投資方針書を準備するだろう。

この方針書は、運用の目的・目標、それらの達成の為の基本ポートフォリオ(=資産配分比率)、

なぜこの資産配分比率なのか、運用管理のオペレーション方法、留意点、見直しの基準など

について、合理性・納得性の有る言葉や数字で明記するものである。

すなわち、

基本ポートフォリオ及び投資方針書の整備とは

「組織として共有可能な意思決定基準」を整備することなのである

複数の人が共有可能な意思決定基準の有無は、

組織の資産運用の持続可能性を大きく左右する

(と同時に、中長期的な運用目標の達成の如何までも大きく左右する)

また、「組織として共有可能な意思決定基準」となる為には

(1)投資戦略と実務と効果(期待される効果)との辻褄が合っていること

(2)運用担当者だけでなく、その他一般の法人役職員にとっても納得性の高いこと(説明性が高いこと)

(3)更に、たとえ運用担当者を含む役職員が交替しても、一貫して継続・持続可能なもので有ること、という3つの条件をクリアしていないといけないのである。

次回は、法人役員の交代を前提とした運用責任者の仕事について掘り下げてみたい。

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