コラム

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2020.05.29

学校法人資産の運用を考える(11) 番外編:パニック時における資産運用チェック(3) 対照的なパニック時の対応<A法人とB法人>

学校法人の資産運用を考える粟津 久乃

前回は、番外編として、パニック時の資産運用チェック項目、(1)運用収入は安定的か?(2)運用元本の落ち込みは一時的か?について解説しました。(1)(2)が概ね「イエス」であれば、どんなパニックが来ようとも、嵐が過ぎ去るのを待つだけであります。

今回は、A法人とB法人の対照的な、パニック時の対応について触れてみたいです。

A法人は、世界の主要な金融市場と市場平均利子利回り、配当利回りを複製するETF(上場投資信託)を使って、グローバル株式市場、グローバルREIT(不動産)市場、グローバル債券市場に分散投資しています。政策的な資産配分比率は、株式市場15%、REIT(不動産)市場10%。債券市場(外貨建て)15%、債券市場(日本国債あるいは為替ヘッジ外債)60%、と予め定めております。

今般のコロナ・パニックでは、株式市場が平均で約▲30%、REIT(不動産)市場で約▲40%、その他国債を除く社債市場は約▲10%~▲20%も下落しました。一方で、日米の国債は著しく上昇したのであります。A法人のポートフォリオ運用も全

体で一時▲10%を超える価格下落に見舞われています(3月29日現時点)。

しかしながら、市場平均価格が下落したとはいえ、何十~何千銘柄から構成される市場平均利回りや市場平均配当利回りの支払いが停止・激減してしまう訳ではありません。A法人が事業に必要とする利子配当の運用収益見込みは、2020年度も変更する必要はないと考えております。また、金融市場の平均価格はリーマンショック時も含めて、浮き沈みを繰り返していますが、最終的には回復・復元しています。今回の価格下落も長い目で見れば、一時的なものと考えております。したがって、世界の主要な金融市場と市場平均利子利回り、配当利回りを複製するETF(上場投資信託)を使ったA法人のポートフォリオについても、長い目でみれば、連動して回復・復元するものと構えております。

さらにはA法人では、大きく下落して資産配分比率の小さくなった株式やREITなどを増やし、そうではない国債やその他債券を減らして、元々決めた資産配分比率まで均衡させるリバランスを始めています。リバランスは相場観に基づくものでは無く、政策的に決められている資産配分比率に基づいたポートフォリオ運用におけるリスク管理のルールであります。と同時にリバランスは結果的に、価格上昇して利回りの低くなった国債等の保有比率を一定まで減らし、価格下落して利回りの高くなった株式、REIT(不動産)、その他外貨などの保有比率を一定まで増やす、ということでもあります。

一方のB法人。仕組債、高配当利回りの個別株式や、個別REIT、劣後債を含む個別社債で運用しておりましたが、既に仕組債などでは市況パニック=利払いの停止あるいは激減が顕在化しております。今後の景気、個々の企業業績・信用リスクの行方次第では、個々の株式、REIT、債券などの発行体にも回復困難な深刻なダメージがでてくるかもしれません。

しかしながら、B法人は既に打つ手はなく、息を殺して成り行きを見守るしかないのです。のはや、脱出困難な、抜き差しならない状況に陥ってしまっているのでしょう(どうしようもないので、“思考停止”の状態といっても良いかもしれません)。



以上

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