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2019.08.30

法人資産の運用を考える(11) 一般常識で理解できる資産運用の原理原則(3)なぜ日銀は指数連動型ETFに投資できるのか?

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

日銀によるETF買い入れによる金融緩和(株価テコ入れ?)が実施されて久しい。2019年1月末時点で日銀が保有するETFの残高は時価ベースで27兆円にのぼる(TOPIXに連動するETFが15兆円、日経225に連動するETFが10兆円を占めると試算される)。


では、なぜ日銀は、損失が許されない公金で、このような指数連動型ETFに投資することができるのだろうか? その理由について日銀から改まった説明がこれまで有った訳ではないが、前回のコラムでも述べた「分散投資はリスクとリターンを均衡させる」という常識的な見方に基づいて、日銀は指数連動型ETFを『選択』しているものと思われる。


つまり、金融市場を代表するような指数連動型ETFを『選択』しておけば、①金融市場や指数が消滅してしまわない限り、投資を継続できる(倒産という最悪のリスクを軽減できる)、②殆どの金融市場や指数は、理論的にも統計的にも、長期的にはプラスの値を示す(長期的にはリターンが期待できる)、という考え方に沿って、日銀は指数連動型ETFを『消去法的に選択』しているものと思われるのである。


「分散投資はリスクとリターンを均衡させる」というアイデアは、1950年代の米国の博士論文に始まる。それまでの資産運用は、リターンを得るには「正しい銘柄」を「正しいタイミング」で的中させなければならないという“勘”“経験”“運”が支配する世界だった。ところがその論文では、リターンを生み出すような「正しい分散投資」による「正しい(合理的な)リスクの取り方」が重要であると唱えたのである。しかしながら、当時はコンピューター技術も発達しておらず、膨大な数の有価証券の価格や利子・配当を情報処理して分散投資の効果を検証・実証することはできなかった。


今日では、SP500指数やTOPIXなどをはじめ、世界中の株式市場、債券市場、REIT市場を代表する膨大な種類の金融市場指数が日々計算、公表されているが、これらの金融市場指数が生まれたきっかけは、実は「分散投資はリスクとリターンを均衡させる」というアイデアは本当なのか、という検証・実証の為だったのである。そして、それを可能にしたのは、コンピューターの進歩だったのである。


更に、このような検証・実証の成果は、後に、インデックスファンドやETFという様々な金融市場指数に単純に連動することを目標とする金融商品の登場に繋がっているのである。


資産運用や金融の仕組みを正しく理解し、成功への道を歩むには、高度な知識や複雑さは必要ない。必要なのは誰もが備えている常識的な見方、考え方だ。しかし、今日の資産運用サービスの提供者(銀行、証券会社、コンサル、運用会社など)からは、このような自明の理を表立って聞くことはないだろう。その代わり、資産運用は非常に複雑だということや、


自社のアドバイスやリサーチ、専門性こそがクライアントの運用目標を達成する為には必要なのだと聞かされるだろう。


しかしながら、資産運用のリスクとリターンを均衡させるには、そんな難しい事は必要ない。正しい対象や正しいタイミングを選ばずとも、ただ単純に金融市場や経済全体に「分散投資」して、それを保有し続ければ良いのである。


以上

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