コラム

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2021.01.29

法人資産の運用を考える(28) 法人が負っているフィデュシャリー・デューティー(受託者責任)(5)  受託者責任とは資産運用の結果責任を問うものでは無い

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

個人資産の運用など、自分の為にお金を運用する場合には受託者責任は問われない。

しかしながら、他人の為にお金を運用管理している場合は全く異なる。

これまでの我流・自己流の資産運用や管理体制で上手くいかない時、また将来上手くいかなくなる恐れのある時は、ちゃんとした適任者を見つけて外部から招聘したり、外部のリソースの力を借りたりしてでも、法人の目的にかなう資産運用とその管理を行う最終責任が、役員(会)には有るのである。

 前回は、法人が、資産運用について外部から招聘、外部リソースの力を借りる場合の適任者の条件について触れた。

握手, ハンドシェイク, 手, ようこそ, 契約, 手を与える

彼(彼ら)の提案する資産運用が、

(1)「他の役職員にも理解、管理可能な範囲内にずっと留まること」

(2)「他の役職員にも理解、管理に関与できるよう、粘り強くコミュニケーションできること」

の2つだと申し上げた。

 さて、上記の適任者の条件では、結果としての「運用成果」については触れていない。

なぜであろう?

 普通一般、法人が、資産運用について外部から招聘、外部リソースの力を借りようとする場合、まず、第一に、彼らの資産運用プロとしての「専門性のみ」や「実績のみ」を基準に審査しようとするのに、である。

 なぜなら、そもそも法人がその資産運用について負っている(受託者)責任とは、厳密な結果責任には成りえないからである。

将来のことなど、誰にも判らない。

これは他の経営判断にも共通する。

だとすれば、成果・結果に至る意思決定のプロセスとその質についてでしか、(受託者)責任は問えないからである。

平たく言えば、法人の資産運用を、(外部から招聘した)法人内部の誰かに、あるは外部の誰かに、“実質的に丸投げ=意思決定・チェックの放棄”して安心してしまって居る状態では、組織としては、本質的なことは何も理解、管理できていないし、それらの説明責任も、公金の受託者責任も全然果たせていない状態がずっと続くのである。

① 法人は組織としての受託者責任を免れることは無い。

②  受託者責任とは、資産運用の結果責任でなく、そこに至るプロセス責任である。

③  プロセス責任とは、運用管理体制というハードをどれだけ整備しても、それだけでは不十分である(規程・ガイドライン等の整備、運用委員会の設置、外部からの専門家の招聘、外部の専門家のリソースの活用などだけに留まるのであれば)

④  プロセス責任とは、組織が実施している資産運用について、組織として、本質的なことを理解、管理できている、自ら説明できる状態を維持し続けることである。

⑤  プロセス責任を果たす為には、ハード面の整備と同等かそれ以上に、ソフト面(人間、人材面)を重視しないと、ハードを機能させることは難しい(ハードは形骸化してしまう)

⑥  外部からの専門家の招聘、外部の専門家のリソースの活用を検討するのであれば、運用目標を見据えての専門性や実績は当然の事である。

が、更に、それだけでは不十分で、彼(彼ら)の提案が(1)「他の役職員にも理解、管理可能な範囲内にずっと留まること」、(2)「他の役職員にも理解、管理に関与できるよう、粘り強くコミュニケーションできること」の2つも伴っていることが必須である。でないと、法人組織として逃れることが出来ないプロセス責任をスキップさせる。いくら法人がハード面を整備しても機能しないで、形骸化してしまう。

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