コラム

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2022.12.20

学校法人の資産運用を考える32 債券投資の基本がわかるシリーズ14メリット・デメリット②

学校法人資産の運用を考える粟津 久乃

前回は債券を保有する最大のメリットについてお伝えいたしました。

今回は、その前提を踏まえたうえで、

債券の最大のデメリットについて考えていきましょう。

◆債券の最大のデメリットは何か

債券の最大のメリットが「価格変動を抑制する力を持っていること」

であるならば、資産運用において債券の注意すべきデメリットは何なのか?

人によっては、金利上昇時に価格が下落することと考えるかもしれません。

また、デフォルトリスクと考える人もいるかもしれません。

しかし、価格変動を受入れ保有し続け、満期を超えて、

債券を全世界に分散して長期保有するならば、

上記のことが最大のデメリットではないでしょう。

資産運用において、パーツとして債券を取り扱うならば

最大のデメリットは、資産の価値を維持することができないかもしれない

という点ではないでしょうか。

債券投資は、資産を膨らませる力はない、ということです。

債券は通常、単価100円で販売されて、100円で償還されます。

当然のことで、資産が増えるような特性は持っていません

また、かといって、学校法人は債券保有の目的として、債券価格の単価の値動きで

利益を上げるような取引もしないでしょう。

債券は安定資産と考えて継続保有すると思います。

そうなってくると、学校法人の資産価値の保全、購買力を考えると、

全く資産を膨らませる力のない債券だけを継続保有する

ポートフォリオは弊社としては怖いとさえ感じます。

それでも日本はデフレだから、

資産の価値は増えなくてもいいという人もいます。

それは本当のでしょうか。

学校法人を運営する上で、設備投資は欠かせません。

校舎を建てる、IT設備を強化する、様々な設備投資がありますが、

その価格は全て国内の価格ではありません。

また、人件費はどうでしょう。今までほぼ上昇しない人件費だから大丈夫でしょうか。

永続的に学校経営を考えるならば、

資産はその時代にあった購買力のある状態に保つ必要があります。

ここではインフレ、デフレなどに関しても深く述べません。

ただ日本国債や高格付けの円債だけを保有する資産割合は、

万が一、ハイパーインフレや、財政危機、貨幣の実質価値の下落が起きれば、

全く安心できる資産ではなくなります。

永続を前提にした学校法人ならば当該問題があることは認識すべきことです。

◆債券のデメリットを克服できる資産は?

答えは簡単です。

株式や不動産の資産を膨らませる力のある、

インフレに弱くない資産に投資をすれば良いのです

ここでは、ポートフォリオ運用について詳細まで述べることはしませんが、

ポートフォリオを組む時点で重要な3要素があります。

①リターンの高い資産

②インフレに弱くない資産

③価格変動のクッションになる資産

バランス良く配分することが大事なのです。

これらに当てはまる資産は、債券のコラムの最初に、

債券とは?というときに記述しましたが、①に当てはまるのは株式でしょう。

②に関しては、株式・不動産は長期的にインフレに弱くない資産であるでしょう。

③は債券の最大のメリットを活かせばよいでしょう。

今ある、債券に①、②を付け加えることで、

債券のデメリットである購買力の維持ができない可能性を払拭できるのです。

 

ここまで債券のメリット・デメリットについて触れて参りました。

次回は、結論として、学校法人が資産運用を行い、結果、得たいこと

学校法人が資産運用で得るべき目標について考えましょう。

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