コラム

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2019.07.16

学校法人資産の運用を考える(2) 『内部人材の問題についての考察』

学校法人の資産運用を考える粟津 久乃

弊社の著書『新しい公益法人・一般法人の資産運用』での資産運用アンケートの分析結果からも、法人が資産運用やその管理を行なうに当たって、様々なリソースが十分とは言えない幾つかの問題点が明らかになっています。
特に、資産運用というものを真の意味において理解し、内部に対してその見識を上手に伝えることが出来るような担当の役職員が不足しているという問題は深刻でもあります。
通常、法人の運用業務を担当している役職員の陣容は非常に小規模かつ、他業務との兼業であります。しかも、彼らの多くは総務、会計、その他の管理部門の出身者で、およそ本格的な資産運用業務に携わったキャリアを持っている人材はまず居ないことが多いです。さらに、彼らの殆どが数年おきに異動・交替を繰り返しているのが普通でもあります。つまり、十分な内部人材を確保できない、育てられない、異動も繰り返すという根本的な問題を抱えているのです。
にも拘らず、預貯金や日本国債を切り替えたり、学校法人の年間の収益が多いときは保有財産を取り崩して使用したり、良き時代の昔のままの資産運用の考え方・スタイルが延々と続いています。預貯金や日本国債以外となりますと、法人は他に依存して意思決定を行わざるを得なくなります。それが債券の信用格付けでしたり、証券会社などの金融機関からの情報や提案だったりしている訳で、それら無しでは、法人の資産運用業務は何も始まらない状況です。しかしながら、信用格付けは未来永劫、絶対なものでは無く、証券会社など金融機関も“販売会社”に過ぎず、必ずしも法人の味方という訳では無いのです。薄々、そのことに気づきながらも、“他にしようがない”という意見が多くの法人の置かれた立場なのでしょう。
最近の話ですが、運用会社からファンドマネージャー経験者を法人の運用担当者として雇い入れたという法人、非常勤理事の中にたまたま運用会社役員がおり、その人からアドバイスをもらっているという法人、という2つの事例に遭遇しました。どちらの法人もそれ以前の資産運用と比べると、その考え方・スタイルの進歩は著しいです。
これらの法人運用担当者や法人理事の資産運用に対する見識は何処に由来しているのでしょうか?それは、過去のキャリアにおいての数々の運用における失敗や恐怖の経験、その失敗や恐怖の原因について客観的に顧みた経験、また単に顧みるのではなく、それらの原因を“言葉”や“数字”を使って整理してきた積み重ねに由来するに違いないかと思います。これと同レベルの経験やスキル蓄積にまで、普通の法人の役職員が到達するのは、今度将来にわたっても、かなり難しいのではないでしょうか。
つまるところ、事実上、殆どの法人は、①プロパーの運用担当として雇い入れるか、②ボランティアに近い不定期の顧問として招聘するか、③外部コンサルに契約でサポートを受けるか、のいずれかの方法でしか、より洗練された“外部の資産運用キャリア経験者の見識”にはアクセスできないのが現状です(勿論、それらの外部の資産運用キャリア経験者には、運用の見識のみでなく、それを法人の運用制約の元でバランスさせる感覚も必須かと思います)

以上

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