コラム

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2026.04.15

法人資産の運用を考える(89) 専門家と呼ばれる立場についての考察

法人は(個人は勿論)様々な専門家と取引をする機会にあふれている。

しかしながら専門家と呼ばれる人たちとお付き合いする際に留意するべきポイントが一つあって、そのポイントの有無によって大別できると著者は考える。

 つまり、専門家が取り扱う商品・サービスが予め決まっており、かつ、それらを顧客に取引してもらうことで、その専門家に利益が入る仕組みになっているか、あるいはそうでないか、というポイントである。

 例えば、一般的に、会計士や弁護士などは特定の取扱い商品・サービスを持たない。純粋に、顧客の為のアドバイスや必要な手続きの代行の対価としての顧問料などでビジネスが成り立っている(ただし、会計士が決算対策の保険商品や会計ソフトを執拗に勧めてくる場合などは留意が必要であるが)。

 一方、銀行、証券、保険、不動産、その他の商品・サービスを取り扱う専門家は異なる。

かれらは特定の取扱い商品・サービスを持っており、それらを顧客に取引してもらうことで初めて報酬(利益)が発生する立場に居る。裏返せば、取扱い商品・サービスを顧客に取引してもらえなければ利益は得られない。

 このような報酬(利益)構造は、それぞれの専門家と呼ばれる人たちの立ち振る舞いを方向付ける結果となりやすい。

前述の会計士や弁護士は、顧客に必要なアドバイスや手続き代行を施すことで取り決められた(顧問料)報酬を受け取り続けることができる。つまり、顧客の利益だけを考えて仕事を遂行しやすい立場にあると言える。

一方、後述の銀行、証券、保険、不動産、その他の商品・サービスを取り扱う専門家は、顧客に取引してもらえないと利益が発生しないので、時として顧客の利益よりも自分(自社)の利益を優先したくなるバイアス、衝動に陥りやすい

 昨今の某外資系保険会社の問題などは、このような構造的な要因が問題として表面化したにすぎないというのが著者の見立てである。

銀行、証券、保険、不動産などにお勤めの個々のアドバイザーやセールスパーソンの問題というよりは、

(1)取扱い商品・サービスを顧客に取引してもらうことでしかビジネスとして成り立たせることができない会社や業界の問題

(2)最終的に自社販売であるか仲介業者・代理店経由の販売であるかに関わらず、商品・サービスの製造からそれらの流通過程に関わる様々な業者全てが、商品・サービスの取引利益に依存せざるを得ないという流通の構造になってしまっている問題

だと思う。

 著者は法人向け資産運用アドバイザーとして、会計士や弁護士などと同じ立場で仕事することを目指しているが、将来的には、銀行、証券、保険、不動産などの分野であっても既存の商品やサービスの取引利益に依存しない新しいビジネスの台頭が望まれる。つまり、完全に中立な立場で、ローンや資産運用、保険、不動産について顧客の為だけに公平なアドバイスを提供し、そのアドバイス料(顧問料)によってのみ成り立つビジネスの台頭である(顧客にアドバイスしたローンや資産運用、保険、不動産などの商品のメーカー、仲介者、流通業者などから一切の利益やキックバックの供与を受けないで、顧客からのアドバイス料だけで仕事をする専門家である)。

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