2026.04.21
GPIFを運用事例として議論する⑧オルタナティブ投資(2)
GPIFを事例に資産運用を考える粟津 久乃
前回の続きで、オルタナティブ投資の例を挙げながらメリット・デメリットを伝えていきます。今回のオルタナティブ投資の例としては、ポートフォリオに採用されやすい「不動産」です。
債券投資と同じように定期的に収益を得られるため、取り入れやすい投資先でしょう。また、価格上昇による収益は、長期的にはインフレにも対応できる可能性があり、採用されやすいでしょう。
不動産に投資をする方法としては、
直接投資(現物投資)・・・直接的に現物の不動産を所有する
間接投資・・・・・・REITや投資信託を使って、間接的に不動産に投資をする
があります。
◆直接投資の事例とメリット・デメリット
①現物不動産
〇メリット
・土地勘がある、空室リスクに対応できる等、自らが不動産に関して優位性があれば高利回りを得られます
・不動産のノウハウがあれば、自社で管理ができ、リフォームも手配するなど選択次第でコストを抑えられます
〇デメリット
・纏まった資金が必要です。融資などを受ける対応も必要となります
・少ない保有数の不動産で管理会社等に依頼する場合、管理費などが高くなる場合があります
・流動性が低い
→以上より、通常の公益法人が保有する場合は、あまり直接投資はされないと考えられます
◆間接投資の事例とメリット・デメリット
間接投資における投資は色々なものがありますので、一つずつ、詳細を纏めます。
②上場REIT
REITとは投資家から集めた資金でマンションやオフィスビル、商業施設などの不動産を購入し、賃貸収入や売却益を投資家に還元する金融商品です。
「Real Estate Investment Trust」の略称で、日本語に訳すと不動産投資信託という意味になります。
海外のREITと区別するため日本ではJapanのJを先頭に付けた、J-REITという名称で呼ばれることも多いです。
なおREITは
・資産の大半をオフィスビルや商業施設等の収益不動産で運用すること
・収益の90%超を投資家に分配することといった一定の要件を充たすこと
といった一定の条件を充たすことで、実質的に法人税が非課税となる仕組みになっており、利益が投資家に分配される仕組みになっています。
〇メリット
・小額投資が可能
・融資条件や、管理などについて不動産を大量に抱えるプロに任せられることで様々なコストダウンが見込めます
・投資先の不動産の分散が可能
・流動性が高い
〇デメリット
・自分の好きな不動産に絞って投資をすることができない
・投資商品の上場廃止・償還などがある
◆上場REITの投資手法
個別銘柄のREIT
株式で上場している個別のREITを購入します。株式を購入するのと同じですので、証券会社で取引をすることになります。
個別のREITはホテルに特化したもの、オフィスに特化したものなど色々と存在しますので、分散投資したい場合はそれぞれのREITを沢山買う必要があり、資金力が必要となります。日本に上場しているREITはおおよそ60種類ほどあります。1株の投資可能額は5万円~50万円以上となりますので、世界中のREITに分散投資したい場合は、ある程度の資金力が必要になります。
個別での銘柄選択となるので、ガバナンス上、恣意性や管理において難しい点があるかもしれません。
証券会社で購入可能です。
投資信託のREITファンド
ファンドになっている投資信託を買う形式です。
手数料が購入手数料・信託報酬・信託財産留保額等かかりますので、個別銘柄のREIT投資や、ETFでの投資よりも手数料が高くなっていないかの確認も必要です。
分配金は商品によって決めることができます。そのため、実体の収益よりも多く分配を行ってしまう商品もあることは要注意です。
証券会社・銀行にて購入が可能です。
ETFのREIT
ETFは「上場投資信託」です。株式のように売買される、上場している投資信託です。日本においては、例えばJ-REIT型のETFですと東証REIT指数に連動する仕組みのETFなどがあります。
この商品の場合、投資家が一つのREIT型のETFを購入するだけで、上場しているREITの全銘柄に投資をすることができます。また、REITは先進国の不動産、アジアに分散投資するもの、など色々存在します。ETFでREITに投資をすることは分散投資をするのに適しています。
また、配当は実質配当となり、実際のREITの中の収益が配当されますので、公益法人の運営上、年間に定期的な配当があることは良い点でしょう。
信託報酬等がかからず、購入手数料も交渉次第で安くなるため、長期保有時、投資信託よりもコストが安くなる可能性が高いです。
証券会社で購入可能です。
③私募REIT
私募REITというものを金融機関が販売するケースがありますので触れましょう。
私募REITは非上場のものであり、少人数に限定して募集します。基本的には金額が1億円以上の投資スタートなどであり、通常は機関投資家等のプロ向けです。
〇メリット
・価格変動が小さい
・地方の小さな不動産にも投資可能
〇デメリット
・流動性が低い
・価格を日々管理することができない
価格変動が小さいので、公益法人にとって、管理しやすいと考えられるかもしれませんが、逆に、流動性が低く、何かあると売りたくてもすぐに売れないという状況が発生しやすいです。
◆公益法人にとって資産運用におけるREITの役割
REITの分配金の原資産である賃貸料等は、一般的に物価にスライドする特徴があるため、インフレに強く、また複数の物件に投資して運用するため、リスク分散の効果があるといわれています。
公益法人にとっては、重要なことは下記の点でしょう。
・インフレに強いという特性
・価格変動が異なる資産を組み入れる際のリスク分散効果
・安定した配当と相対的に高い利回り
分配金の源は、多数の物件からの賃貸料等であり、必要経費等を差し引いたほとんどの利益が投資家に分配されますので、安定した分配金を受け取ることができ、相対的に長期に亘り、債券と比較すると高い利回りを期待することができる可能性が高いです。
投資手法も色々とありますので、取り入れる場合は、よく検討されてみてください。
次回も引き続き、オルタナティブ投資の事例をみていきます。