コラム

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2026.07.15

法人資産の運用を考える(92) インフレ時代の運用目標の目安は7%か?

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

【バブル経済崩壊からコロナショック】

現在の2%~3%インフレが顕在化する以前、バブル経済崩壊からコロナショックまでの約30年間もデフレが続いた。超長期間、インフレ率は0%付近で推移した。財団・学校法人などの運用目標が低いままでも事業継続リスクや保有財産の実質的な目減りリスクは、全く気にしないで済んだ。

【以前の財団法人】

例えば、財団法人の場合、経常的な事業費等が資産運用から3%も運用益が捻出できれば、法人は事業継続することができた。運用元本についても、債券運用して償還時に額面金額しか返ってこなくても、インフレ率が0%であったので、元本の実質的な目減りは起こらなかったのである。

【以前の学校法人】

また学校法人の場合、その多くが現在でも金融資産の約50%を現預金で保有し続けていることが知られている。残りの50%の資産で3%も運用益を捻出できれば、それを2分の1すれば、金融資産全体での運用利回りは1.5%となる。債券運用して償還時に額面金額しか返ってこなくても、かつ、金融資産の約50%を現預金で保有し続けていても、インフレ率が0%であったので、金融資産全体の実質的な目減りは起こらなかったのである。

【コロナショック以降】

本邦でも過去3年で平均3%のインフレが続いた。昨今は2%前後まで落ち着いてきたと言われるが、実態はエネルギー価格などに対する政府補助金の影響を含み、予断を許さない。ちなみに政府・日銀のインフレ誘導目標は2%である。2%~3%のインフレが顕在化、定着するリスクのある現在は、景色は一変、財団・学校法人の運用目標が低すぎると事業継続リスクや、保有財産の実質的な目減りが危ぶまれる。

【これからの財団法人】

事業に必要な運用益3%が継続しても、もはや安心ではない。特に、財団はインカム収益を年度事業に使い続け、運用元本だけを据え置き続ける。債券運用していれば20年後、30年後、額面金額が返ってくる、元本保証で安全だなどとは全く言えなくなる今後インフレ率が平均2%で推移した場合、運用元本は実質的に▲33%(20年後)、▲45%(30年後)まで目減りする計算となる。しかるに、事業用の運用益3%+インフレによる運用元本の目減り防止の為の運用益2%=合計で最低でも運用目標5%に設定してやる必要が有る(インフレ率3%のリスクもあり、合計で6%か、それ以上が妥当水準ということになろう)。

【これからの学校法人】

同じく学校法人も、金融資産の一部で運用益を稼いでも、金融資産の約50%を占める現預金は実質的に▲33%(20年後)、▲45%(30年後)まで目減りする計算となり、全体の足を引っ張り続ける。しかるに、今後インフレ率が平均2%で推移、かつ、財団と異なり学校は運用益を支出しないで保有資産に加算できると仮定した場合(*)、金融資産全体で少なくとも2%の運用益が必須となる(3%のインフレ想定であれば、3%が下限目標)。ただし、今のままで現預金50%を温存し続けるのであれば、残りの運用資産で年平均4%~6%の運用目標が実質価値を維持する為の下限目標となる。(*)しかしながら、学校法人は建物・設備の更新に巨額の出費が避けられない事業構造である。であるから、現預金の保有割合の見直しを含め、金融資産全体で可能な限り高い運用目標を設定しないと、やがて物理的な取り崩しとインフレによる実質的な目減りというダブルパンチを食うリスクが高くなる。

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