コラム

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2026.07.15

GPIFを運用事例として議論する⑨2025年度のGPIF運用報告

GPIFを事例に資産運用を考える粟津 久乃

GPIFのオルタナティブ投資について、纏めている途中ですが、昨年度のGPIFの運用実績が公表されましたので、直近のGPIFの様子について、触れていきます。

◆3年で総資産は100兆円以上増加

2025年の運用益は過去2位の増加額となる+41兆3995億円を記録しました。過去1位の運用益の増加(45兆4153億円)は2年前の2023年であり、ここ3年程度で、資産を100兆円以上増加させていることになります。3年間で57%の資産増加となりました。 2026年7月3日日本経済新聞 2026年度も順調で4月~6月だけで株式の総額は23兆円増加しています。

◆プラス要因の資産

資産の膨らむ要因は国内外の株式上昇と円安がメインです。資産配分の半分を占める株式が37%増加し、資産増加へ大きく貢献しました。外国株式は円安の影響でも増加しています。 一方、外国債券は金利状況より、債券自体が大きく増加したというより、円安進行で、円ベース評価ではプラスの値をとっている状況です。

◆マイナス要因の資産

唯一のマイナス資産は国内債券で3兆7207億円のマイナス評価となっています。要因としては国内金利が上昇し債券価格は下落、保有している国内債券は目減りをしました。 下記のグラフを見ると国内債券のみ、点線が下に下降していることがよくわかります。   GPIFは国内株式、外国株式、外国債券、国内債券を25%ずつ保有する資産配分比率においては全体資産としてはプラスの値をとれますが、この4資産のうち、国内債券だけ保有している法人があるならば、資産はマイナスにならざる負えない状況です。 そして、日銀の政策上、今度も下落傾向が予想されています。

◆GPIFは国内債券を売るのか

この状況下でも勿論、GPIFは国内債券を慌てて大きく売却することはありません。 GPIFは「株価が大きく下がった場合は資産の半分を占める債券の価格が上がる傾向があり、長期的には安定的な収益を獲得できる」としており、国内外の株式と債券を25%ずつ保有する基本ポートフォリオについては「短期的なリスク要因で変えることはない」と語っています。 あくまで、国内債券はポートフォリオ全体の価格変動を抑えるために、資産へ組み入れており、それ自体は万が一のクッションとして残しておく必要があるからです。

◆全体でのプラスを目指す

ポートフォリオ運用においては資産全体のバランスを保ち、目標とするリスクとリターンの範囲に運用を収めることが重要です。 何かの資産に掛けることはなく、その時点の環境(金利、インフレ等)を勘案し、資産配分割合を決めて、全体資産のバランスを維持していきます。 時々、資産運用をしていると、全資産でプラスの結果、100点満点の運用を求める人がいますが、法人の資産運用で重要なことはポートフォリオ全体での成果です。それも長期視点での評価が必要となります。 各資産にはそれぞれ役割があり、一つだけの資産区分ではポートフォリオ運用は成立しません。 是非、GPIFの運用状況を見ながら、各法人の資産の在り方を考察してみてください。  

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