コラム

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2019.04.05

法人資産の運用を考える(7) 法人を取り巻く制約条件と、資産運用との整合(3)運用担当業務の変質

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

50年前の法人の担当者が、今日の資産運用業務にタイムスリップしたとしたら、非常にショックを受けるに違いない。それは、現在の金利が異常に低いということだけではない。判断すべき金融商品の選択肢が驚くほど多く、しかもころころと変わり続けることに、である(様々な金融商品が次々と、手を変え、品を変えて提案され、それ自体が流行り廃りを繰り返している)。


なにしろ、50年前は、預貯金や日本国債、上場株式以外の運用手段がほぼ存在し無かったことは前回コラムで紹介した通りである。保守的な法人運用において、上場株式を投資対象とすることは難しいので、預貯金や日本国債などしか残らなかったのである。預貯金や日本国債など以外に無いのであれば、金利が高くなったり、低くなったりすることには甘んずる他ない。更には、預入金融機関や日本国債などの信用リスク、発行体リスクについて、法人の担当者は注意を払う必要すら無かったのである。


さて、今日、現役の資産運用担当者やこれから着任する担当者が当たり前のように携わる業務は、50年前と比べると、全く異質なものである。まず、金融商品や発行体の種類は比べ物にならないほど膨大である。正に、金融商品ビックバンである。しかも、どの金融商品や発行体を選ぶかで結果が決まる(一方、預貯金や日本国債では結果にそんな差は生まれない)。さらに、一旦、金融商品や債券を選んだ後も、発行体の業績や格付けなどの信用リスク、為替、株価、金利など世の中の変動・変化に注意していないと、途中で結果が異なってくる可能性が有る(一方、預貯金や日本国債では結果にそんな差は生まれない)。


つまり、今日の運用業務は、「何を買うか」「いつ買うか」「買った後どのように管理するか」という責任の一端を担わせる業務へとすっかり変わってしまったのである(預貯金や日本国債の金利低下が顕著になり始めた20年前ぐらいから業務内容は少しずつ変わり始め、今では完全に変質してしまったようである)。もっと言えば、「何を買うか」「いつ買うか」「買った後どのように管理するか」を今日、業務としているのは、法人の運用担当者とプロのファンドマネージャーぐらいのものである。今日、対処することが当たり前に思われている業務に50年前の担当者がタイムスリップしたとしたら、非常にショックを受けたとしても全く無理はない状況なのである。


このように、運用のプロでも無い法人の担当にファンドマネージャーまがいの業務まで担わせるのは、早晩、持続出来なくなるであろう(しかも、法人の会計や決算という制約の中で行わざるを得ない資産運用は、プロのファンドマネージャーのそれよりも自由度が低く、非常に難しい業務である)。


要するに、個々の金融商品、発行体の業績や格付けなどの信用リスク、為替、株価、金利など世の中の変動・変化について、その時々の「当てっこ」を運用担当に求め続ける業


務はもはや持続するのが難しい。その時々の「当てっこ」に依存しない、より普遍的で一貫した土台の上に築かれた運用業務への転換が、法人にとっての急務になってきたのである。


以上

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