コラム

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2019.10.30

法人資産の運用を考える(13) 一般常識で理解できる資産運用の原理原則(5)“大数の法則”“確率”と資産運用

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

コイン投げをする場合、表が出るか、裏が出るかはやってみないと判らない。これは、私たち一人一人が、何時死ぬか、病気や事故に見舞われるかについても同様である。将来のことなど誰にも判らないのである。


資産運用についても全く同じことが言える。特定の債券の利払いや償還金が最終的に支払われるか? 特定の外債やREIT、株式への投資が最終的に回収できるできるか? ということは、やってみないと判らないのである。このように不確実性に満ち溢れた世の中で、我々はどのように、組織として、資産運用の意思決定を下してゆくべきであろうか?


その為のキーワードは“大数の法則”“確率”なのである。例えば、何時死ぬか、病気や事故に見舞われるか判らないので、私たちは保険に加入したりする。それらを引き受ける保険会社は平均余命や平均事故率という統計データを基準にして各保険加入者の適正な保険料を算定してる。また我々は、コイン投げの回数を重ねてゆけば、表の出る確率は1/2に近づいてゆくことを知っている。つまり、個々の事象では不確実性が極めて高く予見不可能であっても、数多くのサンプルデータ全体でみれば、一定の確率や傾向が把握できる。それらの確率や傾向に基づいて意思決定することができるのである。


書籍『新しい公益法人・一般法人の資産運用』でも詳しく解説しているが、資産運用の意思決定についても同様に、“大数の法則”“確率”を用いる方が賢明と言える。例えば、特定の発行体の債券、REIT、株式では、利子配当が消えて無くなることも十分起こり得る。しかしながら、債券市場、REIT市場、株式市場全体の利子配当では、そういった事態には陥りにくくなることは直ぐ理解できよう。確定した利回りではなくなるが、連続性(安定性)もある程度は予見できるようになる。


また、特定の発行体の債券、REIT、株式では、デフォルトしてしまう、あるいは復元困難な下落に陥ることも珍しくない。一方、債券市場、REIT市場、株式市場の全体での価値も一時的に落ち込むことは避けられないかもしれない。しかし、それは特定の発行体のそれとは本質的に異なる理屈であることは、常識を働かせれば判るのではないだろうか。市場全体(≒経済全体)の回復に伴って、復元する可能性の高いものであると考えられるのである(事実、世界中の金融市場の長期間にわたる統計データが、実証的にそれを物語っている)。


念押しではあるが、以上のような“大数の法則”“確率”は、特定の発行体の債券、REIT、株式には当てはまらない。だから、「元本保証」「信用格付け」「世の中の評判」「誰かの見立て」などに基づいて、特定の発行体の債券、REIT、株式などを、運用担当者等が選択するスタイルの法人では、大数の法則”“確率”の代わりに、彼らの“勘”“運”“手腕”に依存し続ける他に無いのである(“手腕”というよりは、彼らの在任中、たままた市況が良かったなどの“運”であることが殆どである)。


以上

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