コラム

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2019.11.30

法人資産の運用を考える(14) 核とならない資産(1) 社債・劣後債(個別銘柄)

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

“日本格付研究所(JCR)が格下げ方向で見直し始めた三井E&Sホールディングス債の価格が軒並み急落(利回りは上昇)した。日本証券業協会の売買参考統計値によると、JCRが5日見直し対象とした8銘柄はこの日すべて値下がりした。第14回債(2019年12月償還)の複利利回りは1.050%から7.905%に上昇、、、今期(2020年3月期)予想を一転して営業赤字に下方修正した三井E&SについてJCRは、財務基盤が著しく毀損(きそん)するとして、財務回復への施策や業績の方向性などを精査して格付に反映させる。現在の格付けは投資適格級で最も低い「BBB-」で、格下げになると投機的等級(ジャンク)になる。三井E&Sは株価も5日、一時ストップ安になった。”(2019年11月6日付 Bloombergより)


奇しくも同じころ、ソフトバンク・グループの巨額の赤字決算も発表となり、非常に居心地の悪い思いをした運用担当者も多かったのではないだろうか?


当たり前のことではあるが、あらゆる社債(個別銘柄)において、それらが予め決められた条件で利払い、償還がされるかどうかは、発行体が約束しているに過ぎない。発行体の中身、業績、格付けは、時間と共にどんどん変わってゆく、不確実性の高いものである。単に“外づら“が債券という体を成しているに過ぎない。厳密に言えば、社債(個別銘柄)が決められた条件で利払い、償還がされるかどうかは、やってみないと最終的に判らないのである。


このように、リターンや運用元本の回収について、やってみないと最終的に判らない、消滅・大きく減価したまま回復しないリスクを伴う資産は、「核とならない資産」として、拙著『新しい公益法人・一般法人の資産運用』においても詳しく解説している。


それは、(1)いの一番に取得することは避けるべき投資対象である。また、(2)やってみないと最終的に判らない“賭け”であるということを承知のうえで取得し、取得後も発行体の中身、業績などのモニターを続け、必要に応じてロスカットという対応もできるレベルの高い投資家向けの投資対象である(事実、プロのファンドマネージャーはそのような取り扱いをしている。そんな彼らでさえ、よく判断を間違えているのだが。)


以上の事は、劣後債(個別銘柄)なども全く同じである。気が付いてみたら保有債券の発行体の殆どが同じような銘柄、同じような業種、同じような債券種類ばかりになってしまってはいないだろうか? たとえ現在、世界的な金融機関や優良企業あるいは、日本においては屈指の金融機関や代表的な企業であることが、将来においては、絶対的な保障でも何でも無い。リーマンショック時以降も、そうした企業の発行する債券価格が大暴落を繰り返している。いくつかの大手金融機関と大手企業も衰退・消滅を繰り返し続けている。このような事実を絶対に忘れてはいけないのである。


以上

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