コラム

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2019.12.30

法人資産の運用を考える(15) 核とならない資産(2) 仕組債(為替、クレジットリンク、EB、インデックスを参照)

ショート連載コラム公益法人協会梅本 洋一

あらゆる債券(個別銘柄)において、それらが予め決められた条件で利払い、償還がされるかどうかは、単に発行体が約束しているに過ぎない。発行体の中身、業績、格付けは、時間と共にどんどん変わってゆく、不確実性の高いものである。単に“外づら“が『債券』という体(テイ)を成しているに過ぎない。厳密に言えば、社債(個別銘柄)が決められた条件で利払い、償還がされるかどうかは、やってみないと最終的に判らないのである。


前回は、このように、やってみないと最終的に判らない、価値が消滅あるいは、大きく減価したまま回復しないリスクを伴う資産は、「核とならない資産」として、拙著『新しい公益法人・一般法人の資産運用』において列挙、詳しく解説していることを社債(個別銘柄)の事例でお話した。


更に今回の仕組債は、このような個別銘柄リスクの上に、別のリスクを二階建てで背負いこんでしまう、「核とならない資産度合い」が一段グレードダウンするものである。


一定の為替水準が維持されれば、ある企業参照企業がデフォルト条項に抵触しなければ、特定の株価が一定水準を維持すれば、はたまた、複数資産での運用成果を参照するインデックスがコンスタントなパフォーマンスを実現できれば、予定の利払いなどが履行されるのが仕組債の特徴である。未だに、多くの法人が一般的な債券の利払いと同じであると誤解しているが、元は債券利息でも何でもない。参照する資産の価格に応じて変動するデリバティブをカウンターパーティーに内部で買ってもらって、その代金を受け取っているに過ぎない(カウンターパーティーとはデリバティブ取引の相手方。通常、証券会社と考えて良い)。要するに、債券の発行体とは全く無関係の何か別の要素に対して、法人が『賭け』をすることで、それがデリバティブ経由でキャッシュ化されているに過ぎない。だから、発行体に何事もなくても、仕組債のインカムや債券本体の価格の方は、実質的にはデフォルトと同じ状態に陥ってしまうことも珍しくない(「債券価格は急落してても、あるいは利払いが滞っていても、発行体は健全。満期まで持てば元本保証。」だと、リーマンショックの頃までは理事会等を抑え込めた『声の大きな運用担当者』も相当いたが、時代も変わった今、もはや、そのようなエクスキューズも常識的に通りづらいのではないかと思う)。


加えて、仕組債には流動性が無い。流動性の無い資産は、換金が難しいという問題を背負うだけでは無い。上場している資産や、国債などと異なり、適正な価格を他で照会することも困難なのである(似たような問題は、個別社債や個別外債などの取引でも起こるが)。特定の証券会社が提示する相対価格に応じる以外に法人の選択肢は殆ど無いのである。ここで忘れてはいけないのが、仕組債の組成時や途中換金時に提示される組成条件や取引価格には、証券会社の手数料が必ず含まれるという事実である(内枠で明示されない手数料は法


人顧客ごとに、また取引ごとに、内部で変更できる。不用心な法人からは1億円額面の取引につき手数料換算で100万円単位の上乗せをすることも不可能では無い)。


しかしながら、法人が『債券』いう体(テイ)に固執して運用収入を確保し続けようとする限り、このような仕組債はずっと存在し続けるのかもしれない。結局のところ、このような状況から脱出するか、しないかを決められるのは、法人自身でしか無いのだと自覚しなくてはいけない。


以上

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